指数 対数

指数法則や指数について(指数法則 浮動小数点)で詳しく説明しています。 まずはそちらの方を一読してください。

ここでは指数法則を元に指数(exponent)対数(logarithm)の関係について説明します。

目次

指数法則の拡張
目次へ↑

以前の説明の指数法則では指数部分に整数の値のみを考えていました。 指数部分に実数も使えるように指数法則を拡張しましょう。 実数には分数(有限小数や循環小数)で表される有理数と、有理数ではない無理数があります。 分数で表される有理数の指数では以前のように同じ数を繰り返し掛け算する累乗という概念が使えますが、無理数の指数では累乗という概念は使えなくなります。 ここからは累乗ではなく拡張した概念である冪乗(べきじょう)という言葉を使います。 「$2$の$0.5$乗」の操作を$2^{0.5}$と書きます。 この右肩の数値「$0.5$」のことを冪指数といいます。

指数を考えるに際して一番重要なのは指数法則になります。 この「指数法則が実数の指数でも成り立つようにする」を指導方針にして指数の定義を拡張します。

$a\gt 0\,\mbox{の実数},\quad p,q\,\mbox{実数とする}$ \begin{align*} a^pa^q&=a^{p+q} \\ \end{align*}
ここでは $a$ に関しては正の値のみにして、負の値を扱うのは一旦あきらめます。 ($a$ が負の値も取れるようにするためには、数の世界を実数から複素数に拡張しなければなりません。 複素数とは2乗したら負になる虚数という数を組み入れた数のことです。 後の議論でルートなどが出てきます。 実数だけの世界では、ルートの中身は正の値でないと扱うことができません。)

以下の指数法則は整数指数で累乗計算が上手く成り立つように導入されたものです。 これら全てが実数指数でも成り立つ、という前提で実数の指数を考えていきます。

$a,b\gt 0\,\mbox{の実数},\quad p,q\,\mbox{実数とする}$ \begin{align*} a^pa^q&=a^{p+q} \tag{指数法則1} \\ \frac{a^p}{a^q}&=a^{p-q} \tag{指数法則2} \\ \left(a^{p}\right)^{q}&=a^{pq} \tag{指数法則3} \\ \left(ab\right)^p&=a^pb^p \tag{指数法則4} \end{align*}

0.5乗 0.25乗 0.75乗
目次へ↑

実数の冪指数は指数法則を満足する数です。 指数法則を上手く用いればどのような数なのかが分かり、計算が可能になります。

まずは$1/2=0.5$乗を考えてみましょう。 (指数法則3)を使うと次の関係式を得ることができます。

\begin{align*} \left(a^{0.5}\right)^2 &= a^{0.5\times 2} = a^1 = a \end{align*}
結果から$a^{0.5}$は$2$乗すると$a$になる数だと分かりました。 2乗して$a$になる数は$a$のルート(平方根)です。 $a$として$2$や$10$を考えると小数点以下3桁までの近似値は次のようになります。
\begin{align*} a^{0.5} &= \sqrt{a} \\ 2^{0.5} &= \sqrt{2} \fallingdotseq 1.414 \\ 10^{0.5} &= \sqrt{10} \fallingdotseq 3.162 \end{align*}
ルートの計算は電卓の[√]ボタンで実行できます。 昔の人は手計算で求めてました。

次に$1/4=0.25$乗を考えてみましょう。 (指数法則3)を使うと次の関係式を得ることができます。

\begin{align*} \left(a^{0.25}\right)^4 &= a^{0.25\times 4} = a^1 = a \end{align*}
結果から$a^{0.25}$は$4$乗すると$a$になる数だと分かりました。 4乗して$a$になる数は$a$のルートのルート(4乗根)です。 $a$として$2$や$10$を考えると小数点以下3桁までの近似値は次のようになります。
\begin{align*} a^{0.25} &= \sqrt{\sqrt{a}} \\ 2^{0.25} &= \sqrt{\sqrt{2}} \fallingdotseq 1.189 \\ 10^{0.25} &= \sqrt{\sqrt{10}} \fallingdotseq 1.778 \end{align*}
4乗根の計算は電卓の[√]ボタン2回押しで実行できます。

次に$3/4=0.75$乗を考えてみましょう。 (指数法則3)を使うと次の関係式を得ることができます。

\begin{align*} \left(a^{0.75}\right)^4 &= a^{0.75\times 4} = a^3 \end{align*}
結果から$a^{0.75}$は$4$乗すると$a^3$になる数だと分かりました。 4乗して$a^3$になる数は$a^3$のルートのルート(4乗根)です。 $a$として$2$や$10$を考えると小数点以下3桁までの近似値は次のようになります。
\begin{align*} a^{0.75} &= \sqrt{\sqrt{a^3}} \\ 2^{0.75} &= \sqrt{\sqrt{2^3}} = \sqrt{\sqrt{8}} \fallingdotseq 1.682 \\ 10^{0.75} &= \sqrt{\sqrt{10^3}} = \sqrt{\sqrt{1000}} \fallingdotseq 5.623 \end{align*}
4乗根の計算は電卓の[√]ボタン2回押しで実行できます。

ちなみに$3/4=0.75$乗は(指数法則3)を使った次の関係式で得ることもできます。

\begin{align*} \left(a^{0.25}\right)^3 = a^{0.25\times 3} = a^{0.75} \end{align*}
結果から$a^{0.75}$は$a^{0.25}$の$3$乗だと分かりました。$0.25$乗の小数点以下3桁までの近似値を$3$乗して$0.75$乗の値を求めてみましょう。
\begin{align*} a^{0.75} &= \left(a^{0.25}\right)^3 \\ 2^{0.75} &= \left(2^{0.25}\right)^3 \fallingdotseq 1.189^3 \fallingdotseq 1.681 \\ 10^{0.75} &= \left(10^{0.25}\right)^3 \fallingdotseq 1.778^3 \fallingdotseq 5.621 \\ \end{align*}
計算途中で四捨五入を行っているため、最後の桁の数値はずれていますが、$3$乗した値の$4$乗根の近似値とほぼ同じ値になります。

有理数指数 実数指数
目次へ↑

有理数の指数は次のように考えることができます。

$m > 0, n$ の整数とすると、(指数法則3)から次の関係式が得らる。 \begin{align*} \left(a^{\frac{n}{m}}\right)^m &= a^{\frac{n}{m}m} \\ &= a^n \end{align*}
つまり $a^{\frac{n}{m}}$ は $m$ 乗すると $a^n$ になる数だということです。 言い換えると $a^{\frac{n}{m}}$ は $a^n$ の $m$ 乗根になる数だということです。 $m$ 乗根の記号 $\sqrt[m]{\square}$ を使って表すと次のようになります。
$m > 0, n$ の整数とすると \begin{align*} a^{\frac{n}{m}} &= \sqrt[m]{a^n} \end{align*}
記号を使って表しただけで、手計算で具体的な値を求めるのは結構大変です。 関数電卓やパソコンを使うと良いでしょう。

無理数の指数は有理数近似で考えます。 近似の精度をどんどん上げていくと、正しい値にどんどん近づいていきます。 例えば円周率(ルドルフ数)を $\pi \fallingdotseq 3.14$ と近似して $a^\pi$ を計算するよりも $\pi \fallingdotseq 3.1415926$ に精度を上げて $a^\pi$ を計算した方がより真の値に近づける、というわけです。以下 $2^\pi$ の例で考えてみましょう。

$\pi$ として小数第1位までの精度を確保する \begin{align*} 3.14 \lt \pi \lt 3.15 \end{align*} なので $2^{3.14}$ と $2^{3.15}$ を関数電卓で計算する \begin{align*} 2^{3.14} &\fallingdotseq 8.8152\cdots \\ 2^{3.15} &\fallingdotseq 8.8765\cdots \end{align*} この結果から $2^\pi$ の小数第1位の値までが確定する。 \begin{align*} 8.81 \lt 2^\pi \lt 8.88 \end{align*}
$\pi$ として小数第6位までの精度を確保する \begin{align*} 3.1415926 \lt \pi \lt 3.1415927 \end{align*} なので $2^{3.1415926}$ と $2^{3.1415927}$ を関数電卓で計算する \begin{align*} 2^{3.1415926} &\fallingdotseq 8.82497749\cdots \\ 2^{3.1415927} &\fallingdotseq 8.82497811\cdots \end{align*} この結果から $2^\pi$ の小数第5位の値までが確定する。 \begin{align*} 8.824977 \lt 2^\pi \lt 8.824979 \end{align*}
重要なのは「真の値からの数値の誤差を、可能な限りいくらでも $0$ に近づけていくことができる」ということです。 このような性質を「収束」といいますが、この性質によって、指数法則を無理数の指数で使っても問題がないことが証明されます。 無理数の指数を記号で表して、指数法則をどんどん使っても問題はないということになるわけです。

指数と対数の関係
目次へ↑

$a$ を、何乗すると $M$ になるのか?

\begin{align*} a^\square = M \end{align*}
対数(logarithm)というものを定義することによって、上の答えを次のように表記します。
\begin{align*} \square = \log_a M \end{align*}
対数は指数の見方を変えたものに過ぎません。 どの数に注目するのか、という違いになります。 これまでに見たことがない新しい表記に戸惑ってしまいますが、とにかく意味を考えながら手を動かして書いてみることです。 何度も書いているうちに段々と手や頭に馴染んできます。
指数表記
$M$ に注目
$M$ は $a$ にどのように $p$ を作用させると得られる数値なのか?
対数表記
$p$ に注目
$p$ は $a$ にどのように $M$ を作用させると得られる数値なのか?
気の持ちようが違うだけで、どちらも同じ $p$ と $M$ の関係を表しています。
$M\gt 0\mbox{の実数},\quad p\mbox{実数},\quad a\gt 0, a\ne 1\mbox{の実数とする}$ \begin{align*} \mbox{指数表記} & & \mbox{対数表記} & \\ M &=a^p & p &= \log_a M \\ \mbox{$M$は} & \mbox{$a$に$p$を作用させたもの} & \mbox{$p$は} & \mbox{$a$に$M$を作用させたもの} \\ \end{align*}
それぞれの数に名前と条件が付いています。
基数(base)、又は、底(てい)
上の式の $a$ で表されている数
1じゃない正の実数
$a\gt 0, a\ne 1$
指数(exponent)
上の式の $p$ で表されている数
実数
真数(antilogarithm)
上の式の $M$ で表されている数
正の実数
$M\gt 0$
ちなみに、$a, M\gt 0$ の条件は数の世界を実数に留めておくために必要な条件です。 この条件をなくすためには数の世界を複素数にまで拡張しなければなりません。 0.5 乗は平方根であったことを思い出してください。 負の数の平方根を扱うには虚数単位というものが必要になります。

数式 $\log_a M$ を日本語や英語では次のように言います。

日本語では $M$ に左から $\log_a$ をくっつける感覚で、「$M$ の底 $a$ の対数を取る」や、「$M$ の対数を取る」、のような「対数を取る」という言い回しをすることがあります。

底が$2$の時は次のようになります。(前の節で計算した結果を使ってます。)

\begin{align*} \mbox{指数表記} & & \mbox{対数表記} & \\ M &=2^p & p &= \log_2 M \\ 1.000 &=2^{0.00} & 0.00 &= \log_2 1.000 \\ 1.189 &\fallingdotseq 2^{0.25} & 0.25 &\fallingdotseq \log_2 1.189 \\ 1.414 &\fallingdotseq 2^{0.50} & 0.50 &\fallingdotseq \log_2 1.414 \\ 1.682 &\fallingdotseq 2^{0.75} & 0.75 &\fallingdotseq \log_2 1.682 \\ 2.000 &= 2^{1.00} & 1.00 &= \log_2 2.000 \\ \mbox{$M$は} & \mbox{$2$に$p$を作用させたもの} & \mbox{$p$は} & \mbox{$2$に$M$を作用させたもの} \\ \mbox{$M$は} & \mbox{$2$を$p$乗したもの} & \mbox{$p$は} & \mbox{$2$が底の$M$の対数を取ったもの} \\ \end{align*}

底が$10$の時は次のようになります。(前の節で計算した結果を使ってます。)

\begin{align*} \mbox{指数表記} & & \mbox{対数表記} & \\ M &=10^p & p &= \log_{10} M \\ 1.000 &=10^{0.00} & 0.00 &= \log_{10} 1.000 \\ 1.778 &\fallingdotseq 10^{0.25} & 0.25 &\fallingdotseq \log_{10} 1.778 \\ 3.162 &\fallingdotseq 10^{0.50} & 0.50 &\fallingdotseq \log_{10} 3.162 \\ 5.623 &\fallingdotseq 10^{0.75} & 0.75 &\fallingdotseq \log_{10} 5.623 \\ 10.00 &=10^{1.00} & 1.00 &= \log_{10} 10.00 \\ \mbox{$M$は} & \mbox{$10$に$p$を作用させたもの} & \mbox{$p$は} & \mbox{$10$に$M$を作用させたもの} \\ \mbox{$M$は} & \mbox{$10$を$p$乗したもの} & \mbox{$p$は} & \mbox{$10$が底の$M$の対数を取ったもの} \\ \end{align*}

対数は指数の数の関係を書き換えたものです。 どの数に注目するかの違いで逆演算という関係になっています。 これまでに習った演算にも逆演算というものがありました。 「足し算と引き算」「掛け算と割り算」と同じような関係が「指数と対数」の関係になります。 記号に慣れるまでに手間がかかりますが、何度も書き殴ってみて、逆演算の感覚をつかんでください。

\begin{align*} \mbox{演算} & & \mbox{逆演算} & \\ &\mbox{$M$は$a$に$p$を作用させたもの} & &\mbox{$p$は$a$に$M$を作用させたもの} \\ \mbox{足し算} & & \mbox{引き算} & \\ M &=a+p & p &= M-a \\ &\mbox{$M$は$a$に$p$を足したもの} & &\mbox{$p$は$a$の符号反転に$M$を足したもの} \\ \mbox{掛け算} & & \mbox{割り算} & \\ M &=a\times p & p &= \frac{M}{a} \\ &\mbox{$M$は$a$に$p$を掛けたもの} & &\mbox{$p$は$a$の逆数に$M$を掛けたもの} \\ \mbox{指数} & & \mbox{対数} & \\ M &=a^p & p &= \log_a M \\ &\mbox{$M$は$a$を$p$乗したもの} & &\mbox{$p$は$a$が底の$M$の対数を取ったもの} \\ \end{align*}
上の割り算の式で $a=0$ にすることはできません。 なぜならば左の掛け算の式で $a=0$ とすると $p$ がどのような値になったとしても $M=0$ になってしまうからです。 つまり、左の掛け算で $a=0$ のとき $p$ の値が定まらない、ので、右の割り算でも $a=0$ のとき $p$ の値が定まらない、ということになります。 同様の理由で、上の対数の式で $a=1$ にすることはできません。 左の指数の式で $a=1$ とすると $p$ がどのような値になったとしても $M=1$ になってしまいます。 つまり、左の指数で $a=1$ のとき $p$ の値が定まらない、ので、右の対数でも $a=1$ のとき $p$ の値が定まらない、ということになります。

底には$1$じゃない正の実数ならどんな数を使っても構いません。 よく使われる底は $2,e,10$ になります。

常用対数(common logarithm)$\log_{10}M$
底 $10$ の対数
この対数の計算結果、真数 $M$ が10の何乗の数に相当するのか分かるので、10進法で何桁になるのか分かります
よく使われるので下付きの $10$ は省略され $\log M$ と書かれることもあります
二進対数(binary logarithm)$\log_{2}M$
底 $2$ の対数
この対数の計算結果、真数 $M$ が2の何乗の数に相当するのか分かるので、真数 $M$ が2進法で何桁になるのか分かります
情報系やコンピュータ関係でよく使われます
よく使われるので $\lg M$ と書かれたり、${\rm lb} M$と書かれたりすることがあります
自然対数(natural logarithm)$\log_{e}M$
底 $e$ の対数
$e$ はネイピア数という、$e=2.718281828459045\cdots$ の無理数の定数です
この対数を使うと、微分や積分の計算結果が綺麗に表現できます
解析学でよく使われます
よく使われるので $\ln M$ と書かれることもあります

対数の計算公式
目次へ↑

ここでは後で使うことになる対数の計算公式を紹介します。 対数計算の公式は、指数の性質や法則を、対数の表記で見たものに相当します。

$a, b\gt 0,\ne 1\,\mbox{の実数},\quad M,N\gt 0\,\mbox{の実数},\quad r\,\mbox{実数とする}$ \begin{align*} \log_a 1 &= 0 \tag{公式1} \\ \log_a a &= 1 \tag{公式2} \\ \log_a MN &= \log_a M + \log_a N \tag{公式3} \\ \log_a \frac{M}{N} &= \log_a M - \log_a N \tag{公式4} \\ \log_a M^r &= r \log_a M \tag{公式5} \\ \log_a M &= \frac{\log_b M}{\log_b a} \tag{公式6} \\ \log_a b &= \frac{1}{\log_b a} \tag{公式7} \end{align*}
以下、これらの公式を証明していきます。 じっくり考えると理解できると思いますが、理解できない場合でも、とりあえずは全て「指数と対数の関係」「指数法則」から証明できるということを知っておいてください。 対数の表記法に慣れてから、もう一度チャレンジしてみるとよいでしょう。 公式というものは丸暗記をしても全然使えません。 導出を何回かやって、手になじませると使えるようになってきます。

まず、準備として以下の式を一つにまとめます。

\begin{align*} \mbox{指数表記} & & \mbox{対数表記} & \\ M &=a^p & p &= \log_a M \end{align*}
指数表記の $p$ の部分に対数表記の右辺の $\log_a M$ を代入し、$p$ を消去すると次の式を得ます。
\begin{align*} M = a^{\log_a M} \tag{*} \end{align*}
また、対数表記の $M$ の部分に指数表記の右辺の $a^p$ を代入し、$M$ を消去すると次の式を得ます。
\begin{align*} p = \log_a a^p \tag{**} \end{align*}
この(*)式や(**)式は「演算と逆演算を組み合わせると、元の値に戻る」ということを示しただけの式なのですが、様々な場面で非常に使える有用な関係式です。 導出と共に暗記しておくと良いでしょう。 以下のように「足し算と引き算の組み合わせ」や「掛け算と割り算の組み合わせ」で同様のことを考えてみると、「足して引く打ち消し」や「掛けて割る打消し」のような感覚と同様であることが分かって理解が深まると思います。 下枠の式を手書きして、$a$ の部分を斜線で打ち消してみると、感覚がつかめてきます。
\begin{align*} & \mbox{$p$消去} & & \mbox{$M$消去} \\ \mbox{足し算・引き算} & & & \\ M &=a+M-a & p &= a+p-a \\ \mbox{掛け算・割り算} & & & \\ M &=a\times \frac{M}{a} & p &= \frac{a\times p}{a} \\ \mbox{指数・対数} & & & \\ M &=a^{\log_a M} & p &= \log_a a^p \\ \end{align*}
このような「何も変えない」という演算は、数式を同値変形していく際に非常に便利に使えます。 理解と共に、身に付けておきましょう。 準備が終わったので、公式を証明していきます。

(公式1)は次のように証明できます。

\begin{align*} 0 &= \log_a a^0 \qquad\fbox{(**)式 $p=\log_a a^p$ で $p=0$ としたもの} \\ &= \log_a 1 \qquad\fbox{$a^0=1$ を使った} \end{align*}

(公式2)は次のように証明できます。

\begin{align*} 1 &= \log_a a^1 \qquad\fbox{(**)式 $p=\log_a a^p$ で $p=1$ としたもの} \\ &= \log_a a \qquad\fbox{$a^1=a$ を使った} \end{align*}

(公式3)は次のように証明できます。

\begin{align*} \log_a MN &= \log_a a^{\log_a M} a^{\log_a N} \qquad\fbox{(*)式より $M=a^{\log_a M},\,N=a^{\log_a N}$} \\ &= \log_a a^{\log_a M + \log_a N} \qquad\fbox{(指数法則1) $a^sa^t=a^{s+t}$ を用いた} \\ &= \log_a M + \log_a N \qquad\fbox{(**)式 $p=\log_a a^p$ の記号 $p$ を $\log_a M + \log_a N$ で置き換えたものを使った} \end{align*}

(公式4)は次のように証明できます。

\begin{align*} \log_a\frac{M}{N} &= \log_a\frac{a^{\log_a M}}{a^{\log_a N}} \qquad\fbox{(*)式より $M=a^{\log_a M},\,N=a^{\log_a N}$} \\ &= \log_a a^{\log_a M - \log_a N} \qquad\fbox{(指数法則2) $\frac{a^s}{a^t}=a^{s-t}$ を用いた} \\ &= \log_a M - \log_a N \qquad\fbox{(**)式 $p=\log_a a^p$ の記号 $p$ を $\log_a M - \log_a N$ で置き換えたものを使った} \end{align*}

(公式5)は次のように証明できます。

\begin{align*} \log_a M^r &= \log_a \left(a^{\log_a M}\right)^r \qquad\fbox{(*)式より $M=a^{\log_a M}$} \\ &= \log_a a^{\left(\log_a M\right)\times r} \qquad\fbox{(指数法則3) $\left(a^s\right)^t=a^{st}$ を用いた} \\ &= \log_a a^{r\log_a M} \qquad\fbox{掛け算の順序を交換した} \\ &= r\log_a M \qquad\fbox{(**)式 $p=\log_a a^p$ の記号 $p$ を $r\log_a M$ で置き換えたものを使った} \end{align*}

(公式6)は底の変換公式と呼ばれるものです。次のように証明できます。

\begin{align*} \log_b M &= \log_b a^{\log_a M} \qquad\fbox{(*)式より $M=a^{\log_a M}$} \\ &= \log_b\left(b^{\log_b a}\right)^{\log_a M} \qquad\fbox{(*)式より $a=b^{\log_b a}$} \\ &= \log_b b^{\left(\log_b a\right)\left(\log_a M\right)} \qquad\fbox{(指数法則3) $\left(a^s\right)^t=a^{st}$ を用いた} \\ &= \left(\log_b a\right)\left(\log_a M\right) \qquad\fbox{(**)式 $p=\log_a a^p$ の記号 $a$ を $b$ で、記号 $p$ を $\left(\log_b a\right)\left(\log_a M\right)$ で置き換えたものを使った} \\ \frac{\log_b M}{\log_b a} &= \log_a M \qquad\fbox{上式両辺を $\log_b a$ で割った} \end{align*}

(公式7)は次のように証明できます。

\begin{align*} \log_a b &= \frac{\log_b b}{\log_b a} \qquad\fbox{(公式6)の $M$ を $b$ としたもの} \\ &= \frac{1}{\log_b a} \qquad\fbox{(公式2)を使った}\\ \end{align*}

常用対数表
目次へ↑

浮動小数点表記では $1\le \mbox{仮数}\lt 10$ として $\mbox{真数}=\mbox{仮数}\times 10^\mbox{指数}$ で数値を表していました。 仮数の部分を10の冪乗で表すことができれば、真数は仮数も含めて全て10の冪乗で表すことができて、どんな数でも指数法則を用いて計算することができるようになります。 17世紀前半にネイピアブリッグスによって、$1$から$10$までの常用対数が詳しく調べられ表にまとめられました。 その表を常用対数表といいます。 その後常用対数表は間違いを修正し、精度を上げどんどん改良されていきました。 昔は手計算で何年もかけて常用対数表を作っていましたが、今はパソコンやスマホや関数電卓で対数の計算ができます。 Excel で作成した(常用対数表)を参考にしてください。

常用対数表を使った計算例を示します。

地球の赤道直径 \begin{align*} 1.28\times 10^7{\rm m} &\fallingdotseq 10^{0.1072}\times 10^7{\rm m} & \fbox{常用対数表より $\log_{10}1.28=0.1072$} \\ &=10^{0.1072+7} {\rm m} \\ &=10^{7.1072} {\rm m} \end{align*} 親指の幅(1インチ) \begin{align*} 2.54 {\rm cm} &=2.54\times 10^{-2} {\rm m} \\ &\fallingdotseq 10^{0.4048}\times 10^{-2} {\rm m} & \fbox{常用対数表より $\log_{10}2.54=0.4048$} \\ &=10^{0.4048-2} {\rm m} \\ &=10^{-1.5952} {\rm m} \end{align*}
様々な量を10進数の桁数に換算して見ることができるようになりました。 赤道直径は約$7.1072$桁、指の幅は約$-1.5952$桁になります。

地球の赤道直径は親指の幅の何倍か? \begin{align*} \frac{1.28\times 10^7{\rm m}}{2.54\times 10^{-2} {\rm m}} &=\frac{1.28}{2.54}\times\frac{10^7}{10^{-2}} \\ &=\frac{10^{0.1072}}{10^{0.4048}}\times\frac{10^7}{10^{-2}} \\ &=10^{0.1072-0.4048}\times 10^{7-\left(-2\right)} \\ &=10^{-0.2976}\times 10^9 \\ &=10^{-0.2976+1}\times 10^{9-1} \\ &=10^{0.7024}\times 10^8 & \fbox{常用対数表より $\log_{10} 5.04\fallingdotseq 0.7024$} \\ &=5.04\times 10^8 \end{align*}
このように、難しい割り算を簡単な引き算で実行できます。 今では電卓で[1.28][÷][2.54]を実行すればよいのですが、試験等で電卓が持ち込めない場合に便利です。

手計算で桁数の多い掛け算や割り算をするよりは、対数表で変換して足し算や引き算を計算する方がはるかに簡単です。 電卓がなかった当時は対数表はかなり珍重されました。 更に、指数法則を使って計算する器具の計算尺というものが発明されました。 電卓が普及する1980年代まで複雑な数値計算の主流は計算尺を使ったものでした。

常用対数の語呂合わせと概算
目次へ↑

一桁の常用対数は $\log_{10} 2, \log_{10} 3, \log_{10} 7$ の値を見積もることができれば、以下のように他の値は計算公式を使って導き出すことができます。 対数の大きさの感覚と、公式を身につけるために、ぜひ一度、手を動かしてみてください。

\begin{align*} \log_{10} 4 &= \log_{10} 2^2 \\ &= 2\log_{10} 2 \\ \log_{10} 5 &= \log_{10} \frac{10}{2} \\ &= \log_{10} 10 - \log_{10} 2 \\ &= 1 - \log_{10} 2 \\ \log_{10} 6 &= \log_{10} \left(2\cdot 3\right) \\ &= \log_{10} 2 + \log_{10} 3 \\ \log_{10} 8 &= \log_{10} 2^3 \\ &= 3\log_{10} 2 \\ \log_{10} 9 &= \log_{10} 3^2 \\ &= 2\log_{10} 3 \end{align*}

$\log_{10} 2, \log_{10} 3, \log_{10} 7$ の暗記用の語呂合わせには以下のものだけでなく、他にも様々なものがあります。 個人的には最後の「兄さん、山椒は、七箱」が全部一緒に覚えられてお勧めですが、ただの語呂合わせなのでどのように工夫してもよいでしょう。

\begin{align*} \log_{10} 2 &= 0.\underbrace{3}_{\mbox{さ}}\underbrace{0}_{\mbox{れ}}\underbrace{1}_{\mbox{いち}}\underbrace{0}_{\mbox{おう}}\underbrace{3}_{\mbox{さ}}\underbrace{0}_{\mbox{れ}}\cdots &&\mbox{去れ、一応去れ} \\ \log_{10} 3 &= 0.\underbrace{4}_{\mbox{し}}\underbrace{7}_{\mbox{な}}\underbrace{7}_{\mbox{な}}\underbrace{1}_{\mbox{い}}\underbrace{2}_{\mbox{に}}\underbrace{1}_{\mbox{い}}\underbrace{3}_{\mbox{さん}}\cdots &&\mbox{死なない兄さん} \\ \log_{10} 7 &= 0.\underbrace{8}_{\mbox{は}}\underbrace{4}_{\mbox{し}}\underbrace{5}_{\mbox{ご}}\underbrace{0}_{\mbox{を}}\underbrace{9}_{\mbox{く}}\underbrace{8}_{\mbox{ば}}\underbrace{0}_{\mbox{れ}}\underbrace{4}_{\mbox{よ}}\cdots &&\mbox{梯子を配れよ} \end{align*} \begin{align*} \log_{10} 2 &\fallingdotseq \underbrace{0}_{\mbox{お}}\underbrace{.}_{\mbox{っ}}\underbrace{3}_{\mbox{さん}}\underbrace{0}_{\mbox{おお}}\underbrace{1}_{\mbox{い}}0 &&\mbox{おっさん多い} \\ \log_{10} 3 &\fallingdotseq 0.\underbrace{4}_{\mbox{し}}\underbrace{7}_{\mbox{な}}\underbrace{7}_{\mbox{な}}\underbrace{1}_{\mbox{い}} &&\mbox{死なない} \\ \log_{10} 7 &\fallingdotseq 0.\underbrace{8}_{\mbox{は}}\underbrace{4}_{\mbox{よ}}\underbrace{5}_{\mbox{こ}}\underbrace{1}_{\mbox{い}} &&\mbox{早よ来い} \end{align*} \begin{align*} \log_{10} \underbrace{2}_{\mbox{にい}} &\fallingdotseq 0.\underbrace{3}_{\mbox{さん}} &&\mbox{兄さん}\\ \log_{10} \underbrace{3}_{\mbox{さん}} &\fallingdotseq 0.\underbrace{4}_{\mbox{しょ}}\underbrace{8}_{\mbox{は}} &&\mbox{山椒は}\\ \log_{10} \underbrace{7}_{\mbox{なな}} &\fallingdotseq 0.\underbrace{8}_{\mbox{は}}\underbrace{5}_{\mbox{こ}} &&\mbox{七箱}\\ \end{align*}

語呂合わせの暗記よりも、以下の概算法の方がお勧めです。 これを知っておけば手計算1桁の常用対数全てを見積もることができます。

\begin{align*} 2^{10} &= 1024 &&\fallingdotseq 1000 &&= 10^3 \\ 3^4 &= 81 &&\fallingdotseq 80 &&=2^3\cdot10 \\ 7^2 &= 49 &&\fallingdotseq 50 &&=10^2\cdot 2^{-1} \end{align*} これらの近似式より以下の値が求まる \begin{align*} \log_{10} 2^{10} &\fallingdotseq \log_{10} 10^3 \\ 10 \log_{10} 2 &\fallingdotseq 3\log_{10} 10 \\ 10 \log_{10} 2 &\fallingdotseq 3 \\ \log_{10} 2 &\fallingdotseq \frac{3}{10} \\ &= 0.3 \\ \log_{10} 3^4 &\fallingdotseq \log_{10} \left(2^3\cdot 10\right) \\ 4\log_{10} 3 &\fallingdotseq 3\log_{10} 2 + \log_{10} 10 \\ \log_{10} 3 &\fallingdotseq \frac{1}{4}\left(3\cdot 0.3 + 1\right) \\ &= \frac{1.9}{4} \\ &= 0.475 \\ \log_{10} 4 &= 2\log_{10} 2 \\ &\fallingdotseq 2\cdot 0.3 \\ &= 0.6 \\ \log_{10} 5 &= 1 - \log_{10} 2 \\ &\fallingdotseq 1 - 0.3 \\ &= 0.7 \\ \log_{10} 6 &= \log_{10} 2 + \log_{10} 3 \\ &\fallingdotseq 0.3 + 0.475 \\ &= 0.775 \\ \log_{10} 7^2 &\fallingdotseq \log_{10} \left(10^2\cdot 2^{-1}\right) \\ 2\log_{10} 7 &\fallingdotseq 2\log_{10} 10 - \log_{10} 2 \\ \log_{10} 7 &\fallingdotseq \frac{1}{2}\left(2 - 0.3\right) \\ &= \frac{1.7}{2} \\ &= 0.85 \\ \log_{10} 8 &= 3\log_{10} 2 \\ &\fallingdotseq 3\cdot 0.3 \\ &= 0.9 \\ \log_{10} 9 &= 2\log_{10} 3 \\ &\fallingdotseq 2\cdot 0.475 \\ &= 0.95 \end{align*}
この概算での近似の精度は以下のようになります。 誤差の蘭にどれくらい多く(少なく)見積もっているのか、(概算値-真値)÷真値、の結果を書いてます。 かなり大胆な概算をしましたが、最終的な精度はそれほど悪くありません。
真値概算値誤差
10241000-2.35%
8180-1.24%
4950+2.05%

対数対数表(4桁)概算値誤差
log1020.30100.3000-0.333%
log1030.47710.4750-0.441%
log1040.60210.6000-0.349%
log1050.69900.7000+0.144%
log1060.77820.7750+0.412%
log1070.84510.8500+0.580%
log1080.90310.9000-0.344%
log1090.95420.9500-0.441%

指数関数 対数関数
目次へ↑

関数とは何かを(こちら)で説明してます。 曖昧なままの人は一読してください。

入力数値を $x$ で表します。 出力数値を $y$ で表します。 入力値と出力値の関係を関数 $y=f(x)$ で表します。 $x$ の数値を入力して $f(x)$ の関係を使って $y$ の数値を出力するイメージです。 実数定数 $a, a\ne 1, a\gt 0$ を用い、 $f(x)=a^x$ を基数(底)$a$ の指数関数、$f(x)=\log_a x$ を底(基数) $a$ の対数関数といいます。

\begin{align*} \mbox{指数関数} & & \mbox{対数関数} & \\ y &=a^x & y &= \log_a x \\ \end{align*}
で指数関数、対数関数を定義します。

基数 $a$ が $1 \lt a$ の時は指数関数も対数関数もどちらも $x$ が大きくなると $y$ は必ず大きくなる「単調増加」と呼ばれる関数になります。 以下は基数 $a$ が $2$ と $10$ の場合の指数関数、対数関数を図で表したものです。

指数関数と対数関数は入力 $x$ と出力 $y$ が逆の関係になったものです。 お互いに逆関数とよびます。 逆関数の特徴は $y=x$ の直線に対して対称な形になることです。 青と赤がお互いに逆関数です。 水色と桃色がお互いに逆関数です。

基数 $a$ の部分を逆数 $1/a$ に変更してみましょう。
指数関数は次のようになり、$a\rightarrow 1/a$ の変更は $x\rightarrow -x$ の変換と同じだと分かります。 グラフで見ると $y$ 軸に対称な形になります。

\begin{align*} y &= \left(\frac{1}{a}\right)^x \\ y &= \left(a^{-1}\right)^x \\ y &= a^{-x} \end{align*}
対数関数は次のようになり、$a\rightarrow 1/a$ の変更は $y\rightarrow -y$ の変換と同じだと分かります。 グラフで見ると $x$ 軸に対称な形になります。
\begin{align*} y &= \log_{1/a} x \\ &= \frac{\log_a x}{\log_a 1/a} \\ &= \frac{\log_a x}{\log_a a^{-1}} \\ &= -\log_a x \end{align*}

基数 $a$ が $0\lt a\lt 1$ の時は指数関数も対数関数もどちらも $x$ が大きくなると $y$ は必ず小さくなる「単調減少」と呼ばれる関数になります。 以下は基数 $a$ が $\frac{1}{2}=0.5$ と $\frac{1}{10}=0.1$ の場合の指数関数、対数関数を図で表したものです。

青と赤がお互いに逆関数です。 水色と桃色がお互いに逆関数です。 2つ上の図とこの図の青、水色の指数関数の曲線を見比べると $y$ 軸を挟んで対称な形になっています。 2つ上の図とこの図の赤、桃色の対数関数の曲線を見比べると $x$ 軸を挟んで対称な形になっています。


以下は基数 $a$ を好きな値に変更できる、指数関数、対数関数のグラフです。 ちょっとマニアックな話になりますが、極限や微分を学習すると、指数関数の $x=0$ での接線の傾きが自然対数を使って $\log_e a$ になることが分かります。 この傾きを表す角度を $\theta$ で表現すると、$\log_e a=\tan\theta$ と表すことができます。 これを $a$ について解くと、$a=e^{\tan\theta}$ になります。

以下の指数関数、対数関数を、様々な基数の設定で眺めてみましょう。


-85°-45°45°85°

θ=°, a=
指数関数, 接線, 対数関数, 接線

対数の記号について 関数の観点から
目次へ↑

対数や対数関数がとっつきにくいのは記号に慣れるまでに時間がかかるからだと思います。 こういう時は、自分の知識の中にあるものに例えて考えると理解が深まり、慣れるのにも時間がかからなくなります。

ここでは逆関数の例として次の例を考えてみます。

\begin{align*} \mbox{関数} & & \mbox{逆関数} & \\ \mbox{足し算関数} & & \mbox{引き算関数} & \\ y &= a + x & y &= -a + x \\ \mbox{掛け算関数} & & \mbox{割り算関数} & \\ y &= ax & y &= \frac{1}{a} x \\ \mbox{指数関数} & & \mbox{対数関数} & \\ y &= a^x & y &= \log_a x \\ \end{align*}
次に関数 $y=f(x)$ の $f$ の部分に関数の性質に合わせて名前を付けてあげます。 足し算(addition)、引き算(subtraction)、掛け算(multiplication)、割り算(division)、指数(exponential)、対数(logarithm)関数に、次のように名前を付けることにします。
\begin{align*} \mbox{関数} & & \mbox{逆関数} & \\ \mbox{足し算関数} & & \mbox{引き算関数} & \\ y &= {\rm add}_a (x) & y &= {\rm sub}_a (x) \\ \mbox{掛け算関数} & & \mbox{割り算関数} & \\ y &= {\rm mul}_a (x) & y &= {\rm div}_a (x) \\ \mbox{指数関数} & & \mbox{対数関数} & \\ y &= \exp_a (x) & y &= \log_a (x) \\ \end{align*}
このように書き換えることで、関数と逆関数は互いに逆の関係になるものに名前(記号)を付けただけのものだと分かります。 関数という考え方は、歴史的には三角関数や対数関数の数表から始まった考え方です。 歴史的な経緯があって、対数の記号は四則演算や指数のような演算記号っぽい形式ではなく、関数っぽい記述形式になってるわけです。 $\sin(x), \cos(x)$ 等と似たような記述形式だと考えてください。

足し算関数と引き算関数の互いに逆関数の関係をグラフで見ると次のようになります。 青と赤が互いに逆関数、水色と桃色が互いに逆関数、になってることが $y=x$ を軸に対称になってることから分かります。

掛け算関数と割り算関数の互いに逆関数の関係をグラフで見ると次のようになります。 青と赤が互いに逆関数、水色と桃色が互いに逆関数、になってることが $y=x$ を軸に対称になってることから分かります。

指数関数と対数関数の互いに逆関数の関係をグラフで見ると次のようになります。 青と赤が互いに逆関数、水色と桃色が互いに逆関数、になってることが $y=x$ を軸に対称になってることから分かります。

対数目盛
目次へ↑

数直線や座標を描く際に、普段使ってる目盛(normal scale)は数値に関して等間隔です。 普段使ってる目盛では桁違いの量を比較するのはかなり難しいです。 下の図の縦スクロールで真ん中あたりを見てください。 青色の横線が普段使ってる目盛で $x$ 軸を描いたものです。 桁違いの量を見るために、$0.01,0.02,\cdots,$ $0.09,0.1,0.2,\cdots,$ $0.9,1,2,\cdots,$ $9,10,20,\cdots,90,100$ の位置に目盛を打ちました。 横スクロールで見てみると、桁違いの量の全体を見渡すのが大変なことが分かります。 そのような時に対数目盛(log scale)というものを使います。 対数目盛は桁に注目して桁の等間隔に目盛を打つ方法です。 青色の縦軸が2つありますが、右の縦軸が普段使っている目盛で打った桁の値、左の縦軸が対数目盛になります。 図の下で対数目盛の打ち方を説明します。

\begin{align*} \log_{10} 100 &= \log_{10} \left(1\times 10^2\right) &&= \log_{10} 1 + \log_{10} 10^2 &&= 0 + 2 &&= 2 \\ \log_{10} 90 &= \log_{10} \left(9\times 10^1\right) &&= \log_{10} 9 + \log_{10} 10^1 &&\fallingdotseq 0.9542 + 1 &&= 1.9542 \\ \log_{10} 80 &= \log_{10} \left(8\times 10^1\right) &&= \log_{10} 8 + \log_{10} 10^1 &&\fallingdotseq 0.9031 + 1 &&= 1.9031 \\ \log_{10} 70 &= \log_{10} \left(7\times 10^1\right) &&= \log_{10} 7 + \log_{10} 10^1 &&\fallingdotseq 0.8451 + 1 &&= 1.8451 \\ \log_{10} 60 &= \log_{10} \left(6\times 10^1\right) &&= \log_{10} 6 + \log_{10} 10^1 &&\fallingdotseq 0.7782 + 1 &&= 1.7782 \\ \log_{10} 50 &= \log_{10} \left(5\times 10^1\right) &&= \log_{10} 5 + \log_{10} 10^1 &&\fallingdotseq 0.6990 + 1 &&= 1.6990 \\ \log_{10} 40 &= \log_{10} \left(4\times 10^1\right) &&= \log_{10} 4 + \log_{10} 10^1 &&\fallingdotseq 0.6021 + 1 &&= 1.6021 \\ \log_{10} 30 &= \log_{10} \left(3\times 10^1\right) &&= \log_{10} 3 + \log_{10} 10^1 &&\fallingdotseq 0.4771 + 1 &&= 1.4771 \\ \log_{10} 20 &= \log_{10} \left(2\times 10^1\right) &&= \log_{10} 2 + \log_{10} 10^1 &&\fallingdotseq 0.3010 + 1 &&= 1.3010 \\ \log_{10} 10 &= \log_{10} \left(1\times 10^1\right) &&= \log_{10} 1 + \log_{10} 10^1 &&= 0 + 1 &&= 1 \\ \log_{10} 9 &= \log_{10} \left(9\times 10^0\right) &&= \log_{10} 9 + \log_{10} 10^0 &&\fallingdotseq 0.9542 + 0 &&= 0.9542 \\ \log_{10} 8 &= \log_{10} \left(8\times 10^0\right) &&= \log_{10} 8 + \log_{10} 10^0 &&\fallingdotseq 0.9031 + 0 &&= 0.9031 \\ \log_{10} 7 &= \log_{10} \left(7\times 10^0\right) &&= \log_{10} 7 + \log_{10} 10^0 &&\fallingdotseq 0.8451 + 0 &&= 0.8451 \\ \log_{10} 6 &= \log_{10} \left(6\times 10^0\right) &&= \log_{10} 6 + \log_{10} 10^0 &&\fallingdotseq 0.7782 + 0 &&= 0.7782 \\ \log_{10} 5 &= \log_{10} \left(5\times 10^0\right) &&= \log_{10} 5 + \log_{10} 10^0 &&\fallingdotseq 0.6990 + 0 &&= 0.6990 \\ \log_{10} 4 &= \log_{10} \left(4\times 10^0\right) &&= \log_{10} 4 + \log_{10} 10^0 &&\fallingdotseq 0.6021 + 0 &&= 0.6021 \\ \log_{10} 3 &= \log_{10} \left(3\times 10^0\right) &&= \log_{10} 3 + \log_{10} 10^0 &&\fallingdotseq 0.4771 + 0 &&= 0.4771 \\ \log_{10} 2 &= \log_{10} \left(2\times 10^0\right) &&= \log_{10} 2 + \log_{10} 10^0 &&\fallingdotseq 0.3010 + 0 &&= 0.3010 \\ \log_{10} 1 &= \log_{10} \left(1\times 10^0\right) &&= \log_{10} 1 + \log_{10} 10^0 &&= 0 + 0 &&= 0 \\ \log_{10} 0.9 &= \log_{10} \left(9\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 9 + \log_{10} 10^{-1} &&\fallingdotseq 0.9542 - 1 &&= -0.0458 \\ \log_{10} 0.8 &= \log_{10} \left(8\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 8 + \log_{10} 10^{-1} &&\fallingdotseq 0.9031 - 1 &&= -0.0969 \\ \log_{10} 0.7 &= \log_{10} \left(7\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 7 + \log_{10} 10^{-1} &&\fallingdotseq 0.8451 - 1 &&= -0.1549 \\ \log_{10} 0.6 &= \log_{10} \left(6\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 6 + \log_{10} 10^{-1} &&\fallingdotseq 0.7782 - 1 &&= -0.2218 \\ \log_{10} 0.5 &= \log_{10} \left(5\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 5 + \log_{10} 10^{-1} &&\fallingdotseq 0.6990 - 1 &&= -0.3010 \\ \log_{10} 0.4 &= \log_{10} \left(4\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 4 + \log_{10} 10^{-1} &&\fallingdotseq 0.6021 - 1 &&= -0.3970 \\ \log_{10} 0.3 &= \log_{10} \left(3\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 3 + \log_{10} 10^{-1} &&\fallingdotseq 0.4771 - 1 &&= -0.5229 \\ \log_{10} 0.2 &= \log_{10} \left(2\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 2 + \log_{10} 10^{-1} &&\fallingdotseq 0.3010 - 1 &&= -0.6990 \\ \log_{10} 0.1 &= \log_{10} \left(1\times 10^{-1}\right) &&= \log_{10} 1 + \log_{10} 10^{-1} &&= 0 - 1 &&= -1 \\ \log_{10} 0.09 &= \log_{10} \left(9\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 9 + \log_{10} 10^{-2} &&\fallingdotseq 0.9542 - 2 &&= -1.0458 \\ \log_{10} 0.08 &= \log_{10} \left(8\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 8 + \log_{10} 10^{-2} &&\fallingdotseq 0.9031 - 2 &&= -1.0969 \\ \log_{10} 0.07 &= \log_{10} \left(7\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 7 + \log_{10} 10^{-2} &&\fallingdotseq 0.8451 - 2 &&= -1.1549 \\ \log_{10} 0.06 &= \log_{10} \left(6\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 6 + \log_{10} 10^{-2} &&\fallingdotseq 0.7782 - 2 &&= -1.2218 \\ \log_{10} 0.05 &= \log_{10} \left(5\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 5 + \log_{10} 10^{-2} &&\fallingdotseq 0.6990 - 2 &&= -1.3010 \\ \log_{10} 0.04 &= \log_{10} \left(4\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 4 + \log_{10} 10^{-2} &&\fallingdotseq 0.6021 - 2 &&= -1.3970 \\ \log_{10} 0.03 &= \log_{10} \left(3\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 3 + \log_{10} 10^{-2} &&\fallingdotseq 0.4771 - 2 &&= -1.5229 \\ \log_{10} 0.02 &= \log_{10} \left(2\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 2 + \log_{10} 10^{-2} &&\fallingdotseq 0.3010 - 2 &&= -1.6990 \\ \log_{10} 0.01 &= \log_{10} \left(1\times 10^{-2}\right) &&= \log_{10} 1 + \log_{10} 10^{-2} &&= 0 - 2 &&= -2 \\ \end{align*}

対数目盛の応用は広範囲にわたります。 指数関数や対数関数と相性が良いので、そのような振る舞いをする現象を見るのに便利です。 (常用対数表)のグラフのシートに使用例があります。 指数関数的な振る舞いをする現象では縦軸を対数目盛に、 対数関数的な振る舞いをする現象では横軸を対数目盛にするとよいです。 片方の目盛を対数目盛にしたグラフを片対数グラフ(semi-log graph)といいます。 (Pareto の法則について)では冪関数への応用例を説明しています。 冪関数的な振る舞いをする現象では縦軸と横軸の両方を対数目盛にするとよいです。 両方の目盛を対数目盛にしたグラフを両対数グラフ(log-log graph)といいます。

アニメで見る対数関数の性質
目次へ↑

ここでは対数関数の性質をアニメーションで確認します。 前節では、常用対数のグラフを、等倍の縦横比で表示しました。 等倍の縦横比では横軸の間隔が10倍増えると、間隔の大きさが増えすぎて全体の比較が困難になります。 ここでの性質を利用することで、横軸の間隔を拡大・縮小して見ることができるようになります。

対数関数の重要な性質は以下の式で表されます。

$a\gt 0\,\mbox{の実数},\quad r\,\mbox{実数とする}$ \begin{align*} y &= \log_a x \\ &= \log_a \left( x\cdot a^{-r}\cdot a^r \right) \\ &= \log_a \left( x\cdot a^{-r} \right) + \log_a a^r \\ &= \log_a \left( x\cdot a^{-r} \right) + r \end{align*}
最後の $y = \log_a \left( x\cdot a^{-r} \right) + r$ の式から、対数関数には、横軸 $x$ を $a^{-r}$ 倍すると、縦軸の値は $r$ 増えるという性質があることが分かります。 グラフで表すと、横軸 $x$ を $a^{-r}$ 倍しても、縦軸の値を $r$ 増やせば同じ形になるという性質になります。 以下、基数を具体的に $a=10$ としてみてその特徴を見てみましょう。

基数を $a=10$ とすると次の関係になります。

$r\,\mbox{実数とする}$ \begin{align*} y &= \log_{10} \left( x\cdot 10^{-r} \right) + r \end{align*} $r=1$ のとき \begin{align*} y &= \log_{10} \left( x\cdot 10^{-1} \right) + 1 \end{align*} $r=-1$ のとき \begin{align*} y &= \log_{10} \left( x\cdot 10^1 \right) - 1 \end{align*}

上記性質をアニメーションで確認するのが次のグラフです。 横軸を拡大・縮小することによって、前節の等倍の縦横比では分かりにくかった対数関数の綺麗な性質が理解できると思います。





(藤本の担当講義に戻る)    (Tipsに戻る)